国立成育医療研究センター、小児医療で初の「資金調達専門室」設置――年間2億5千万円目標で全国病院へノウハウ提供

石井英治 資金調達ニュース - ファクタリング・私募債・融資・出資 など

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国立成育医療研究センターが小児医療で初となる「ファンドレイジング室」を設置

国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は、寄付や協賛を体系的に集める専門部署「ファンドレイジング室(FR室)」を2025年秋に新設し、2026年度から専従職員3名体制で本格稼働させました。小児医療分野で国立機関が資金調達専門部署を置くのは全国初とされ、同センターは「年間2億5千万円の調達」を当面の目標に掲げています。これにより、先進医療機器の導入や療養環境の整備を加速させ、持続可能な小児医療の実現を目指す方針です。共同通信(2026年5月6日)

設置の背景――小児医療を取り巻く財政的課題

少子化や診療報酬の伸び悩みを受け、小児医療機関の多くは収入構造の転換を迫られています。同センターも23年度には約2億5千万円、24年度には約1億3千万円の赤字を計上しました。従来は広報部門が寄付対応を兼務していましたが、寄付額は年間1億円前後で頭打ち。こうした状況から「共感を資金につなげる専門チーム」が不可欠と判断され、FR室の設置に至りました。国立成育医療研究センター 寄付のご案内

ファンドレイジング室の組織体制と短期目標

FR室は財務経理部門と連携しつつ、独立した意思決定プロセスを確保しています。専従職員3名の内訳は以下のとおりです。

  • 室長:戦略立案と外部ネットワーク構築を担当
  • コーディネーター:寄付者・企業とのリレーション構築
  • コミュニケーション担当:広報・SNS・イベント運営

2026〜2028年度までの3カ年計画では、①個人寄付1億円、②企業協賛1億円、③遺贈寄付5千万円の合計2億5千万円を目標額に設定。調達した資金は手術用ロボット導入など高額機器の購入や、病棟のプレイルーム拡充に充当される予定です。手術用ロボット寄付プロジェクト

重点施策:多様な資金調達モデルの展開

FR室は次のような複線的モデルを提示し、他院でも再現しやすいスキームづくりを進めています。

  1. 遺贈寄付プログラム—終活セミナーとの連動で長期的な寄付を喚起
  2. 企業協賛—SDGsやESG投資を意識した共同キャンペーンを実施
  3. クラウドファンディング—患者ストーリー動画を活用し、少額多数の支援を獲得
  4. イベント型募金—院内外のマラソン大会やチャリティーコンサートを定期開催

これらを通じて「共感→参加→継続支援」という循環を構築し、単年度で終わらない財源基盤を確立することが狙いです。

ノウハウ提供と全国連携の枠組み

センターは、得られた知見を小児専門病院や大学病院、小児科併設の地域基幹病院へ横展開する計画です。

  • 年2回の「小児医療ファンドレイジング勉強会」をオンライン開催
  • 成功事例をまとめたガイドライン冊子を無償公開
  • 寄付管理システムの共同利用を視野に入れたオープンプラットフォームを構築

これにより、人的リソースが限られる地方病院でも再現可能なモデルを提供し、全国レベルでの資金流入拡大を後押しします。国立成育医療研究センター 主な取り組み

今後の課題と期待される波及効果

課題としては、①寄付文化醸成のための継続的コミュニケーション、②個人情報保護と透明性の両立、③人材確保と専門性向上が挙げられます。一方で、安定的な資金が確保できれば、最先端治療へのアクセス向上や医療スタッフの教育研修充実など、多方面での波及効果が期待されます。センターの笠原群生病院長は「小児医療全体を支える基盤へ広げていきたい」と意気込みを語っており、FR室の取り組みは今後の国立機関のモデルケースとなりそうです。共同通信(2026年5月6日)

記事ライター

石井英治

資金調達アドバイザーとして企業・個人の資金繰りのサポートを行う。モットーは「資金調達は安全で信頼できるサービスを選べ」。業界歴25年。
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