法人カード決済を加速度的に拡大する「Xard」最新版徹底解説|紙手形廃止が追い風、API連携で最短2週間ローンチへ

石井英治 法人カード比較
「Xard」最新版で法人カード決済の活用拡大を象徴する、現代日本の都市でスマホを使う人々のシルエットが描かれた画像です。

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次世代カードプラットフォーム「Xard」最新版の概要

インフキュリオンが2025年9月に公開した最新版「Xard」は、企業が自社ブランドの法人カード事業を短期間かつ低コストで立ち上げられるAPIプラットフォームです。カード発行、取引処理、残高管理をモジュール化し、“必要な機能だけ”を選択して導入できるのが最大の特長です。最新版ではテスト用サンドボックス環境を最短2週間で提供し、導入検証のハードルを大幅に下げました。公式リリース

同社は2022年4月に初期版を提供して以降、Fintech企業や小売事業者など多様なプレーヤーのニーズを汲み取り機能を拡張。今回のアップデートにより、加盟店制御や利用上限のリアルタイム設定といった運用系APIの使い勝手を高め、企業のキャッシュレス戦略を一段と後押しします。サービスページ

法人間決済市場のポテンシャル

国内の法人間決済総額は約1,160兆円と推計される一方、法人カードが占める比率は0.7%程度に留まります。請求書払い中心の商習慣や紙の手形・小切手の存在が障壁ですが、2026年度末での紙手形廃止方針が示されたことで電子化の機運が急速に高まっています。経産省方針報道

また、経済産業省の調査によれば、2024年のBtoB-EC市場規模は514.4兆円、EC化率は43.1%と年々上昇。取引のオンライン化が進む今、カード決済までワンストップで埋め込める“Embedded Finance”の重要性は日に日に増しています。電子商取引市場調査

最新版で追加された3つの注目機能

  • カード利用上限・加盟店制御をAPIでリアルタイム変更
  • 残高直接加減算APIにより複数サービス間の資金移動を簡素化
  • 外部PSP接続による口座振替機能を標準装備

これらの機能は、サブスク型SaaSやECプラットフォームが自社UIへシームレスに組み込める設計になっています。開発チームはカード処理の煩雑さから解放され、顧客体験向上や差別化機能の実装に集中できます。

法人カード導入で得られる4つの経営メリット

①支払サイト延長によるキャッシュフロー改善、②経費のリアルタイム可視化による内部統制強化、③与信審査の一元化で取引リスクを低減、④決済額に応じたポイント還元によるコスト最適化――これらが企業にとって即効性のある利点です。特にスタートアップでは、従来の銀行振込や約束手形より資金繰りの柔軟性が高まり、成長投資に資金を振り向けやすくなります。

さらに、Xard経由で発行するJCB/Visaブランドのカードはサイバーリスク保険など付帯サービスも選択可能。情報漏えい対策や不正利用補償を組み合わせることで、社内外のセキュリティ水準を底上げできます。

導入プロセスとサンドボックス活用のポイント

導入企業は、まずオンライン申し込みでAPIキーを取得し、サンドボックス環境へ接続。2週間の検証期間でカード発行・決済・残高照会の一連フローをテストできます。実環境への移行時は、PCI DSS準拠のXard基盤によりセキュアな接続が保証され、追加開発は最小限に抑えられます。

また、開発者ドキュメントは日本語と英語で整備され、Webhook通知やテスト用カード番号が豊富に用意されています。これにより、海外ベンダー製プラットフォームにありがちな“言語の壁”や“タイムゾーン差”を気にせず国内リソースだけで短期ローンチが可能です。開発資料

法規制・コンプライアンス対応

資金決済法やクレジットカード番号取扱い指針など、多層的な法令遵守が求められるなか、Xardはカード発行業務をインフキュリオンが担い、加盟店管理や不正モニタリングまで包括的に提供します。導入企業は「収納代行業者」としての登録やPCI DSS認証取得を行う必要がなく、法的リスクを最小限に抑制できます。

さらに、マネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)に関しては、国際ブランドと連携したブラックリスト照合を自動実行。国内外の規制改正に合わせてシステム面が随時アップデートされるため、中長期の運用コストを予測しやすい点も評価されています。

ユーザー企業の導入事例

最新リリースと同時に、SaaS請求代行ベンダーA社がXard APIを採用し、月額利用料のカード払い機能を提供開始。初期開発はわずか6週間、導入3カ月でカード決済比率は全取引の27%に急伸しました。請求・入金消込が自動化され、担当者の作業時間は従来比65%削減。加えて、カードポイントで得た還元分を顧客キャッシュバックに充当し、解約率低下にも寄与しています。

小売大手B社では、全国300店舗の仕入先支払いを法人カードへ集約。仕入先ごとに利用上限を設定し、無計画な支出をブロック。キャッシュフロー改善効果として、月次平均で1.8億円の資金余裕が生まれたと報告されています。

市場が期待する今後のロードマップ

インフキュリオンは、リボルビング機能や給与カード連携などの追加開発を予定。加盟店制御の細粒度化により、業種単位の利用制限や疑わしいトランザクションの事前ブロックが可能となります。これらの拡張は、サブスクリプションビジネスやBPO事業者にとって、売掛リスク軽減と顧客体験向上を同時に実現する武器となるでしょう。

紙手形廃止や電帳法改正で加速する“脱・紙の経理”の文脈において、法人カード決済基盤をAPIで即時組み込める「Xard」は、Fintechのみならずあらゆる業界のDXを下支えする存在になりつつあります。

まとめ:法人カード決済拡大の決め手は「スピードと柔軟性」

日本の法人カード利用率はまだ1%未満ですが、B2B決済のキャッシュレス化、Embedded Financeの潮流、そして紙手形廃止という3つの追い風がそろいました。最新版「Xard」は、サンドボックス即日接続とモジュール型APIにより、「やりたいときに、やりたい機能だけ」を取り込める柔軟性が強みです。金融機能をサービス内にシームレスに組み込むことで、資金効率と業務効率を同時に高める——これこそが法人カード活用拡大の鍵と言えるでしょう。

今後は、業界横断でのデータ連携やAIによるリスクスコアリングが進めば、決済プラットフォームは単なる支払い手段を超え、企業経営そのものを最適化する“経営インフラ”へと進化すると期待されます。

記事ライター

石井英治

資金調達アドバイザーとして企業・個人の資金繰りのサポートを行う。モットーは「資金調達は安全で信頼できるサービスを選べ」。業界歴25年。
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