“香り”を次世代メディアへ──レボーンが4.3億円調達で切り拓く嗅覚DX最前線【累計13.5億円】

石井英治 資金調達ニュース - ファクタリング・私募債・融資・出資 など
レボーンが香りメディア化へ向けて4.3億円調達の瞬間を捉えた日本の都市風景。嗅覚DXの進展を象徴する抽象的な要素も含まれています。

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レボーンが4.3億円を調達──香りを「嗅覚メディア」として社会実装する次の一手

においデータの計測から解析、そして香りそのものの生成までを一貫して手がけるスタートアップ 株式会社レボーン(本社:東京都中央区)は、2026年1月6日に総額4.3億円の資金調達を完了したと発表しました。累計調達額は13.5億円に達し、香りを“感じるもの”から“伝えるメディア”へと昇華させる社会実装フェーズに入ります。今回ラウンドの引受先にはCVCファンドやVC、事業会社が名を連ね、五感の最後のフロンティアと呼ばれる嗅覚領域が本格的な事業フェーズに移行したことを印象づけました。公表内容の詳細はPR TIMESプレスリリースをご確認ください。

資金調達の中身──出資者とラウンド構造

今回のラウンドには、

  • Brand New Retail Initiative Fund 投資事業有限責任組合(GP:イノー・アソシエイツ)
  • Archetype Ventures
  • 株式会社OKBキャピタル
  • 株式会社チョープロ

が参加。筆頭株主となったイノー・アソシエイツは、同社の映像・イベント系ネットワークを活かし、香り体験のユースケース拡大を後押しするとコメントしています。既存投資家であるArchetype Venturesも「嗅覚デジタル化はいよいよ次フェーズ」と継続支援を表明。出資各社のコミットメントは、単なる資金供給にとどまらず、共同開発や販路連携など事業開花に向けた具体的なシナジー創出を視野に入れています。

調達資金の使途──センシング精度と再生デバイスを強化

レボーンは調達資金を「においセンシングシステム」と「AI調香システム」の高度化に投下するとしています。具体的には、

  1. 高精度かつ携帯性を高めた小型センサーの量産開発
  2. 多様な香りを自律的にブレンド・再生できるデバイスの改良
  3. クラウド基盤の拡充によるにおいデータベースの高精度化

を掲げ、誰もが手軽に香りを記録・送信・再生できる汎用プラットフォームを目指します。調香とセンシングの両輪を自社内で統合することで、ハード/ソフト一体のエコシステムを構築し、市場参入障壁を高める戦略です。

香りメディア化の核心──「記録→伝送→再生」の完整ループ

現在、視覚はカメラ&ディスプレイ、聴覚はマイク&スピーカーという確立したメディア形態を持ちますが、嗅覚は「デジタルで扱えない感覚」とされてきました。レボーンは①におい分子のパターンをセンサーで電気信号化しデータベース化、②クラウドで解析した結果をAIが香料カートリッジへ指示、③人間が感知できる濃度とタイミングで噴霧──という工程をワンストップで実現。これにより、映画やライブ配信でシーンに合わせた香り演出、医療現場での嗅覚リハビリ、食品・飲料の品質管理など多彩な応用が開けます。まさに香りが文字・映像・音声に次ぐ「第四のメディア」として胎動し始めた瞬間と言えます。

市場環境と競合──“五感DX”の潮流の中で

世界的にXR・メタバース市場が拡大する中、触覚・嗅覚といった高次感覚を取り込む「マルチモーダル体験」が新しいUX指標となっています。国内ではソニーのHaptiX、海外ではOVR Technologyなどが嗅覚デバイスを開発していますが、センシングから調香まで垂直統合した例は稀少です。レボーンは自社プラットフォームの独自性を盾に、

  • 匂いマーケティング(店舗・エンタメ)
  • 産業用品質管理(食品・化粧品・自動車)
  • 医療・ウェルネス(リハビリ・ストレスケア)

の三領域で先行優位を狙います。資金面では合計13.5億円規模と、国内スタートアップとしては大型の部類に入り、国際展開に向けた財務基盤も整いつつあります。

編集部の視点──嗅覚プラットフォーム時代の起点となるか

レボーンが訴求する「においの民主化」は、単にデバイスの普及にとどまらず、香りの制作・流通・著作権管理といった“エコシステムの規格化”へ射程を伸ばします。音楽業界がMP3とストリーミングで変容したように、「.odor」(仮称)のようなフォーマットが誕生すれば、香り体験の創り手と受け手の距離が一気に縮まる可能性があります。今回の調達はその布石であり、ハード・ソフト・コンテンツを巻き込んだプラットフォーム戦争の幕開けを告げる出来事と捉えられるでしょう。引き続き製品ローンチのタイミング、SDK公開の有無、国際標準化団体との連携が注目点となります。

記事ライター

石井英治

資金調達アドバイザーとして企業・個人の資金繰りのサポートを行う。モットーは「資金調達は安全で信頼できるサービスを選べ」。業界歴25年。
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