マンダム株に6.67%出資!旧村上ファンド系シティインデックスイレブンス参戦で加速するガバナンス改革の行方

旧村上ファンド系シティインデックスイレブンスがマンダム株を6.67%取得
2025年9月24日、金融庁EDINETに提出された大量保有報告書によれば、旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスがマンダム(東証プライム4917)株を6.67%保有したことが明らかになりました。本報告書の発生日は9月16日で、新規に報告義務が発生しています。
シティインデックスイレブンスとは何者か
シティインデックスイレブンスは、かつて「物言う株主」として名を馳せた村上世彰氏の流れをくむ投資ファンド群の一角で、法人番号1010401082024、東京都渋谷区南平台町に本店を置きます。過去にはコスモエネルギーHDや新生銀行などの銘柄で大量保有報告書を提出し、経営陣への提言や資本政策の見直しを迫った実績があります。
大量保有報告書(5%ルール)のポイント
- 上場企業の発行済株式総数の5%を超えて保有した場合、保有者は5営業日以内に財務局へ報告書を提出。
- 報告書には保有目的・取得資金・共同保有者などが記載され、投資家にとって重要なシグナルとなります。
- 今回の報告種別は「新規」で、保有比率は6.67%と単独での届出が確認できます。
マンダムの企業概要
1927年創業、大阪本社の化粧品メーカー。男性用「ギャツビー」、女性用「ルシードエル」などのブランドで知られ、アジア各国にも展開しています。2025年3月期の連結売上高は761億8,300万円(前年同期比4.0%増)、営業利益は10億2,800万円(同49.1%減)と減益決算でした。
株価・バリュエーションの現状
IRバンクによると、2025年9月5日時点のマンダム株は終値1,470円、予想PBR0.97倍とPBR1倍割れが続いています。時価総額は約709億円にとどまり、資本効率の低さが市場評価を押し下げている状況です。
旧村上系が着目したであろう課題
- 低PBR:1倍を下回る株価純資産倍率。
- 減配リスク:営業利益減少で配当方針の柔軟性が問われる局面。
- 海外事業の伸び悩み:インドネシア市場の不振が利益を圧迫。
- ガバナンス:資本政策・取締役会構成の見直し余地。
シティインデックスイレブンスの狙い
同ファンドは報告書で保有目的を「投資および状況に応じた経営陣への助言、重要提案行為」と記載するのが通例です。これまでの案件では、
- 自社株買い・増配の提案
- 不採算事業の縮小
- 資本コストを意識した経営指標の導入
などを要求してきました。今回のマンダムでも、資本効率の改善や株主還元策を中心とした対話が始まる可能性があります。
マンダム側の対応と今後の焦点
現時点でマンダムは本件に関する公式コメントを発表していません。しかし、
- 今期以降の配当方針
- 中期経営計画のアップデート
- ガバナンス強化に向けた外部取締役比率
などを示すことで市場の不安払拭を図る必要があります。IRカレンダーによれば次の決算発表は11月上旬予定であり、質疑応答で本件が俎上に載るのは確実です。
市場の初期反応
報告書提出が伝わった9月25日の東京市場で、マンダム株は前日比5%高まで買われる場面がありました。出来高は平常時の約3倍に増加し、投資家の関心の高さを示しています。PBR1倍超えを意識した思惑買いが当面の株価の支えとなる一方、シティ側の具体的なアクションが見えるかどうかが持続的な上昇のカギになります。
まとめ
旧村上ファンド系の動きは、低PBR企業にとってコーポレートガバナンス改革の触媒となってきました。マンダムが持続的な成長と企業価値向上を実現するには、
- 資本効率を意識した経営指標の設定
- 収益性改善に向けた海外事業のテコ入れ
- 機動的な株主還元策
といった課題へのスピード感ある対応が不可欠です。今後の両者の対話と開示姿勢に注目が集まります。

石井英治
資金調達アドバイザーとして企業・個人の資金繰りのサポートを行う。モットーは「資金調達は安全で信頼できるサービスを選べ」。業界歴25年。