宇宙・医療・フードが躍進!STARTUP DB「国内スタートアップ資金調達ランキング2023年10月版」徹底解説

石井英治 資金調達ニュース - ファクタリング・私募債・融資・出資 など
STARTUP DBが国内スタートアップ資金調達金額ランキング2023年10月版を発表。宇宙・医療・フード分野での革新を示す現代日本の都市風景を描写。

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「国内スタートアップ資金調達金額ランキング(2023年10月版)」とは

成⻑産業支援を手がけるフォースタートアップス株式会社は2023年11月15日、同社が運営するスタートアップ情報プラットフォーム「STARTUP DB」による「国内スタートアップ資金調達金額ランキング(2023年10月)」を公開しました。調査対象は登記簿謄本やプレスリリースなどから得た2万2,000社分のファイナンス情報で、2023年1月1日〜10月31日までに“発表”された案件を金額順に集計したものです。PR TIMESリリースSTARTUP DB 記事

本ランキングは「いつ・誰が・いくらを調達したのか」を可視化し、業界横断での資金移動を定点観測できる資料としてVCや金融機関、スタートアップ支援機関から高い注目を集めています。2023年10月版では、久々に100億円超のディールが見られなかった点が特徴で、前回(6月)以来4か月ぶりの“二桁億円台中心”となりました。同記事

2023年10月 資金調達額トップ3

  1. QPS研究所(福岡県・宇宙):50億円
     三井住友銀行をアレンジャーとする5年物のシンジケートローン。小型SAR衛星を低コストで開発・運用しており、同日付で東証グロース上場承認も取得。出典
  2. MICIN(マイシン)(東京都・ヘルスケア):40億5,000万円
     オンライン診療サービス「curon」等を運営。シリーズCとして第三者割当増資とあおぞら企業投資からの融資を組み合わせる複線型ファイナンスを実施。出典
  3. DAIZ(熊本県・フードテック):36億円
     植物肉「ミラクルミート」を量産するため、デットファイナンス34億円と鹿児島銀行からの出資2億円を合算。落合式ハイプレッシャー法で栄養価を高めた独自素材が強み。出典

宇宙×金融・医療DX・代替プロテイン――業種多様化が鮮明

トップ3だけを見ても、「宇宙」「デジタルヘルス」「フードテック」と領域が三者三様です。特にQPS研究所のシンジケートローンは、民間宇宙スタートアップがメガバンク主導で大型ローンを組む稀有な事例となり、深宇宙探査や衛星コンステレーションビジネスへの信用供与が加速する象徴的な出来事といえます。

一方、MICINのシリーズCはプロダクト開発・臨床治験・人材投資に幅広く充てられ、薬機法改正や遠隔医療ニーズの高まりを背景にSaaS+金融機能を備えた「診療DX基盤」へピボットを狙う動きが読み取れます。DAIZは国内2拠点目となる植物肉専用工場の建設費に資金を投下し、BtoB供給量を現行比4倍へ引き上げる計画です。

100億円超案件ゼロが示す投資環境の変調

2023年初頭にはENECHANGE(150億円)やSmartHR(120億円)など9桁億円規模の調達が相次ぎましたが、10月は最高額でも50億円。世界的な金利高騰と円安の長期化で国内VCの大型ファンド組成が伸び悩み、レイターステージ案件が絞られた影響が大きいとみられます。

ただし“マルチストラクチャー型”の調達が増えた点は見逃せません。MICINのようにエクイティと融資をハイブリッドで組む事例が増加し、企業側は株主希薄化を抑えつつ成長資金を確保、金融機関側は金利とオプション権を組み合わせてリスクコントロールを図る――両者の思惑が合致した結果と言えるでしょう。

調査手法とSTARTUP DBの信頼性

STARTUP DBは公開情報に加えて登記簿や独自取材も織り交ぜ、累計約2万2,000社の資金調達データを保有。今回のランキングは2023年11月6日時点でのデータ固定を行い、発表月ベースで金額を再集計しています。算定方法や保証条項の詳細はリリース末尾に明示され、エビデンスファーストの編集指針が徹底されています。調査概要

有識者が見る「今後の資金調達トレンド」

  • シリーズAの大型化:生成AIや気候テックなど“技術依存度が高い”領域では、実証フェーズ前に20〜30億円を集めるケースが常態化。
  • 地方発スタートアップの伸長:DAIZ・QPS研究所に代表されるように、ローカル案件が上位に入る傾向が強まり、自治体系CVCの存在感も増大。
  • 政府系スキームの積極活用:中小機構の債務保証制度など、公的リスクシェアを組み込んだローンがディープテック資金を底上げ。

編集部の視点:データドリブンとナラティブの両立

ランキングは「数字」で語れる指標ですが、資金調達はあくまで成長ストーリーの一里塚にすぎません。宇宙・医療・フードといった社会課題解決型スタートアップが上位に並んだ今月は、「テクノロジーの社会実装」が投資家評価軸の中心にあることを改めて示しました。資金だけでなく“なぜ必要か”を語れるナラティブをどう描くか――これこそが次のラウンドを左右します。

読者が取るべきアクション

  1. ディールソースの多様化:VC・CVCだけでなく、メガバンクや地方銀行のスタートアップ担当者と早期に接点を持つ。
  2. 補助金・保証制度の研究:中小機構やNEDOの枠組みはディープテックに必須。社内に専門担当を置いて情報収集を常態化する。
  3. リーガル&ファイナンスの内製化:デット+エクイティを組み合わせる際、条件交渉を自社主導で行える体制を整備する。

まとめ

2023年10月の資金調達市場は、金利情勢の逆風で大型案件が停滞する一方、宇宙・医療・フードテックといった社会インパクト領域が着実に資金を集めました。ハイブリッド型ファイナンスや公的保証の活用が一般化しつつある現在、資金調達戦略は「調達手段の組み合わせ」と「事業シナリオの明快さ」の両立がカギとなります。11月以降もSTARTUP DBは月次でランキングを公開予定。引き続き動向をウォッチしましょう。

記事ライター

石井英治

資金調達アドバイザーとして企業・個人の資金繰りのサポートを行う。モットーは「資金調達は安全で信頼できるサービスを選べ」。業界歴25年。
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