日本中小企業金融サポート機構のファクタリング解説
日本中小企業金融サポート機構とは
一般社団法人日本中小企業金融サポート機構は、中小企業や個人事業主の資金繰りを支えるために設立された経営革新等支援機関です。売掛金を早期資金化できるファクタリングを中心に、補助金・M&A・リースバックなど幅広い支援メニューを提供しています。法人格が一般社団法人のため営利色が薄く、利用者は安心して相談できる点が大きなメリットです。詳細は公式サイトで確認できます。
加えて、オンライン完結のAIファクタリング「FACTOR⁺U」を運営し、デジタル化で審査と入金を高速化。金融機関連携や公的機関とのネットワークを活かし、従来の融資審査が難しいケースでも柔軟に資金調達を可能にしています。
ファクタリングの基本仕組み
ファクタリングは事業者が保有する売掛債権を同機構に売却し、将来の入金日より前に現金化する取引です。2者間方式では「事業者」と機構のみで契約するため取引先に知られず利用でき、スピードが最短当日。3者間方式では「事業者・取引先・機構」の3者契約となり、手数料が抑えられる代わりに取引先の承諾が必要です。どちらの方式でも売掛先が倒産しても償還義務がなく、担保・保証人も不要なため、赤字決算や税金滞納中でも利用できる点が特徴となります。
FACTOR⁺Uの特徴
同機構が提供するAIファクタリング「FACTOR⁺U」は、請求書PDFと口座入出金データをアップロードするだけでAIが審査を実施し、最短40分で入金まで完了します。対面手続きや郵送契約は一切なく、すべてWebで完結。さらに経営革新等支援機関が直接運営するため、セキュリティ体制や個人情報管理も公的基準に準拠しています。
- 審査書類は2点のみで負担が小さい
- 口座連携により取引履歴を自動取得
- チャット相談が無料で税理士・社労士など専門家が対応
- 登録費用・月額利用料は0円
これにより「資金ショートまで時間がない」「初めてで不安」という事業者でも使いやすいサービスとなっています。
手数料と入金スピード
手数料はFACTOR⁺Uの場合、公式に「1.5%~」と明記されています(上限は審査結果により個別提示)。AIによるリスク評価で低水準を実現し、相場の5~20%前後の他社サービスと比べても有利な水準です。入金スピードは書類提出後、最短40分。従来型2者間ファクタリングでも最短当日入金が可能で、締切15時までの契約成立が条件です。
利用手順と必要書類
- メールアドレス登録後に送られる認証リンクをクリックし、ユーザー情報を入力
- マイページから「請求書(PDFまたは画像)」と「入出金履歴CSVまたは通帳画像」をアップロード
- AI審査結果を確認し、オンラインで電子契約を締結
- 指定口座へ入金(最短40分)
郵送や対面契約が不要なため、地方企業や出張先からでもスマートフォンで完結できます。
こんな事業者におすすめ
- 販売代金の入金サイトが長く、運転資金が一時的に不足しやすい製造業・建設業
- 赤字決算・税金滞納などで銀行融資のハードルが高い企業
- ベンチャー投資の希薄化を避けたいスタートアップ
- 初めてファクタリングを利用する個人事業主
売掛先の信用力が審査の中心となるため、自社の財務内容に不安があっても利用しやすい点が魅力です。
注意点とよくある質問
①売掛先が法人でなければ利用できません。個人相手の売掛債権は対象外です。②債権額・入金予定日が確定している請求書のみ買取可能で、納品前や予定請求書は対象外。③取引先への通知を避けたい場合は2者間方式を選択しますが、その分手数料は3者間より高くなります。④オンラインで完結するとはいえ、売掛債権譲渡登記が必要なケースでは別途印紙税・登録免許税が発生する場合があります。利用前に必ず見積書で総コストを確認しましょう。
石井英治
資金調達アドバイザーとして企業・個人の資金繰りのサポートを行う。モットーは「資金調達は安全で信頼できるサービスを選べ」。業界歴25年。